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高齢の親が一人暮らしを続けている、または夫婦二人で実家に住んでいる場合、家の中で気になりやすい場所の一つが浴室です。帰省したときに、浴室の段差や滑りやすい床、深い浴槽を見て「このままで安全に使えるのだろうか」と不安になる人もいるでしょう。

介護が必要になってから慌ててリフォームを考えるよりも、親が自分で動けるうちに浴室を見直しておくと、安心して暮らし続けやすくなります。ただし、設備を新しくするだけではなく、親本人の体の動きや生活のしやすさに合わせて考えることが大切です。

この記事では、親の家の浴室リフォームで確認したいポイントや、家族で話し合っておきたいことを解説します。

暮田あすか

親がこれからも安全に入浴できる住まいを整えるための参考にしてください。

高齢者が使いやすい浴室リフォームの基本ポイント

高齢者向けの浴室リフォームでは、設備を新しくすることよりも、安全に動けるかを優先して考えることが大切です。浴室は水で滑りやすく、またぐ・座る・立ち上がるといった動作も多いため、年齢を重ねるほど体への負担が大きくなります。まずは、転倒しにくく、出入りしやすい浴室にするための基本を確認していきましょう。

出入口の段差をなくす

浴室リフォームでは、まず出入口の段差をなくすことが重要です。浴室と脱衣所の間に段差があると、足を上げる動作が必要になり、つまずきや転倒の原因になりやすいためです。

たとえば、若いころは気にならなかった数センチの段差でも、高齢になると足が上がりにくくなり、濡れた床やスリッパの状態によってはバランスを崩すことがあります。特に入浴後は体が温まり、ふらつきやすくなることもあるため、出入口まわりの安全性は見逃せません。

段差を解消する方法としては、浴室と脱衣所の床の高さをそろえる、すのこや段差解消材を使う、ユニットバスへ交換するなどがあります。リフォームの規模によって対応方法は変わるため、現在の浴室の状態に合わせて検討しましょう。

出入口の段差を減らすことで、親が一人で浴室に出入りしやすくなります。将来的に杖や歩行器を使う可能性を考えても、段差の少ない浴室に整えておくと安心です。

滑りにくい床材にする

浴室の床は、滑りにくい素材へ変更することが大切です。浴室は水や石けんで足元が滑りやすく、転倒事故が起きやすい場所だからです。

たとえば、昔ながらのタイル床は、濡れると滑りやすく、冬場は冷たさを感じやすいことがあります。足元が不安定になると、浴槽へ入るときや洗い場で立ち上がるときに転びやすくなります。高齢者の場合、転倒による骨折がその後の生活に大きく影響することもあります。

リフォームでは、表面に凹凸があり滑りにくい床材や、水はけのよい床材を選ぶとよいでしょう。あわせて、床の冷たさを抑えられる素材にすると、冬場の入浴時の負担も軽くなります。

床材は見た目だけでなく、実際に濡れた状態で安全に歩けるかが重要です。親が浴室内で安心して立ち座りできるよう、滑りにくさと掃除のしやすさの両方を確認して選びましょう。

浴槽をまたぎやすい高さにする

高齢者が使いやすい浴室にするには、浴槽の高さも見直す必要があります。浴槽の縁が高すぎると、またぐときに足を大きく上げる必要があり、転倒やふらつきの原因になるためです。

古い浴室では深い浴槽が使われていることがあります。肩までしっかり浸かれる一方で、出入りのたびに大きく足を上げなければならず、膝や腰に負担がかかりやすくなります。浴槽の中で立ち上がる動作がつらくなることもあるでしょう。

リフォームでは、またぎやすい高さの浴槽を選ぶ、浴槽の近くに手すりを設置する、腰かけられる縁のあるタイプを検討するなどの方法があります。浴槽が浅すぎると体が温まりにくい場合もあるため、入りやすさと入浴時の快適さのバランスを見ることが大切です。

浴槽は、毎日の入浴で負担を感じやすい場所です。親が足を上げる動作や立ち上がりに不安を感じているなら、浴槽の高さを優先的に確認しましょう。

開閉しやすいドアに変更する

浴室のドアは、開閉しやすく、万が一のときに対応しやすいものを選びましょう。ドアの形によっては、出入りしにくかったり、浴室内で倒れたときに外から開けにくくなったりすることがあるためです。

内開きのドアは、浴室内で人が倒れた場合に体が邪魔になり、外から開けにくくなることがあります。また、開き戸は開閉時に体をよける動作が必要になるため、足元が不安定な高齢者には負担になる場合があります。

高齢者向けの浴室では、引き戸や折れ戸が選ばれることがあります。引き戸は開閉時の動作が比較的少なく、出入りしやすい点がメリットです。折れ戸は開くスペースを抑えやすく、浴室の広さに限りがある場合にも検討しやすいでしょう。

暮田あすか

ドアは普段あまり意識しない部分ですが、安全な入浴には欠かせないポイントです。親が一人で開け閉めしやすいか、緊急時に外から対応しやすいかを確認してみてくださいね。

入浴中の事故を防ぐために確認したい設備

高齢者の入浴では、転倒だけでなく、立ち座りの負担や急な温度差にも注意が必要です。浴室は裸足で移動し、浴槽をまたぎ、濡れた床で体勢を変える場所だからこそ、体を支える設備や寒さをやわらげる工夫が欠かせません。安全に入浴しやすくするために、事故予防につながる設備を確認していきましょう。

浴槽や洗い場に手すりを設置する

浴室リフォームでは、浴槽や洗い場に手すりを設置することが大切です。手すりがあると、浴槽をまたぐときや洗い場で立ち上がるときに体を支えやすくなり、転倒のリスクを減らしやすくなります。

浴槽に入るときは片足で体を支えながらもう一方の足を上げるため、バランスを崩しやすい動作になります。洗い場でも、椅子から立ち上がるときや体を洗うときに、手を添えられる場所がないと不安定になりがちです。

手すりを設置する場所は、浴槽の出入り口付近、浴槽内、洗い場、出入口付近などが考えられます。ただし、一般的に便利とされる位置が、必ずしも親本人に合うとは限りません。身長や利き手、浴槽への入り方、普段の動作によって使いやすい位置は変わります。

設置前には、実際に親が浴室でどのように動いているかを確認しましょう。体を支えたい場面に合わせて手すりをつけることで、より安心して入浴しやすい浴室になります。

浴室暖房でヒートショック対策をする

浴室暖房は、冬場の入浴時に起こりやすいヒートショック対策として検討したい設備です。ヒートショックとは、暖かい部屋から寒い脱衣所や浴室へ移動したときなど、急な温度差によって体に負担がかかる状態を指します。

高齢者は、血圧の変動による体調変化が起こりやすいため、寒い浴室に入ること自体が負担になる場合があります。特に冬場、暖房の効いた居室から冷えた脱衣所へ移動し、その後熱いお湯に入る流れは、体への負担が大きくなりやすいです。

浴室暖房を設置すると、入浴前に浴室内をあたためられるため、急な寒さを感じにくくなります。暖房機能に加えて、換気や乾燥機能があるタイプを選べば、カビ対策や洗濯物の乾燥にも使える場合があります。

浴室暖房は、単に快適さを高める設備ではなく、寒暖差による体への負担を減らすための備えです。親が冬場の入浴を嫌がる、浴室が寒いと言っている場合は、優先して検討するとよいでしょう。

洗い場に座って使えるスペースを確保する

高齢者が安全に入浴するには、洗い場に座って使えるスペースを確保することも重要です。立ったまま体を洗う動作は、足元が滑りやすい浴室では不安定になりやすく、疲れやすさにもつながるためです。

たとえば、洗い場が狭いと、椅子を置いたときに体を動かしにくくなります。シャワーを取る、体を洗う、立ち上がるといった動作のたびに無理な姿勢になり、転倒の危険が高まることがあります。将来的に介助が必要になった場合も、洗い場が狭いと家族や介助者がサポートしにくくなります。

リフォームでは、安定した浴室用の椅子を置ける広さがあるか、シャワーや水栓に手が届きやすいか、立ち座りの際に手すりを使えるかを確認しましょう。椅子の高さも、親の膝や腰に負担が少ないものを選ぶと使いやすくなります。

洗い場は、毎回の入浴で長く過ごす場所です。座って安全に体を洗える環境を整えておくと、親が一人で入浴するときの不安を減らしやすくなります。

浴室と脱衣所の温度差を減らす

浴室だけでなく、脱衣所との温度差を減らすことも大切です。入浴時は、服を脱ぐ、体を洗う、浴槽に入る、浴室から出るという流れの中で、何度も温度変化を受けるためです。

たとえば、浴室だけをあたためていても、脱衣所が冷えていると、服を脱いだ瞬間や入浴後に体が冷えやすくなります。冬場は特に、居室と脱衣所、浴室の温度差が大きくなりやすく、体への負担につながることがあります。

対策としては、脱衣所に暖房器具を設置する、浴室暖房とあわせて入浴前に空間をあたためる、窓の断熱性を高めるなどが考えられます。古い浴室では窓や壁から冷気が入りやすいこともあるため、断熱リフォームを検討するのも一つの方法です。

暮田あすか

入浴中の安全を考えるなら、浴室内だけでなく、脱衣所まで含めて環境を整えることが大切です。親が寒さを我慢しながら入浴していないかを確認し、温度差を少なくする工夫を取り入れましょう。

親が安心して入浴を続けるために家族で確認したいこと

浴室リフォームは、手すりや床材などの設備を選ぶだけで終わりではありません。親本人がどの動作に不安を感じているのか、将来介助が必要になったときも使いやすいかを確認しながら進めることが大切です。子ども世代だけで判断せず、親が納得して使える浴室にするためのポイントを整理しておきましょう。

不便に感じている動作を確認する

浴室リフォームを考えるときは、まず親本人がどの動作を不便に感じているのかを確認しましょう。子ども側が危ないと感じる場所と、親本人が実際に負担を感じている場所は異なることがあるためです。

浴槽の深さを心配していても、親本人は洗い場で立ち上がる動作や、脱衣所から浴室へ入る段差に不安を感じているかもしれません。反対に、親が「まだ大丈夫」と言っていても、実際には手すりがないと浴槽から出にくい、冬場の浴室が寒くて入浴を控えがちになっている場合もあります。

確認するときは、「どこが危ない?」と聞くよりも、「お風呂で立ち上がるときに不安はない?」「浴槽をまたぐときに怖くない?」など、動作ごとに聞くと答えやすくなります。可能であれば、普段の入浴動作を本人に説明してもらい、どこに手をついているか、どこでふらつきやすいかを確認するとよいでしょう。

親本人の感覚を聞かずに進めると、せっかくリフォームしても使いにくい浴室になる可能性があります。まずは日々の入浴で困っていることを把握し、必要な工事を見極めることが大切です。

介助が必要になった場合の使いやすさを考える

浴室リフォームでは、親が一人で使いやすいことに加えて、将来介助が必要になった場合も考えておきましょう。今は自分で入浴できていても、体力や足腰の状態が変わると、家族や介助者のサポートが必要になることがあるためです。

洗い場が狭いと、介助する人が横に立ったり、体を支えたりしにくくなります。ドアの開口部が狭い場合は、介助しながら出入りするのが難しくなることもあるでしょう。浴室用の椅子や手すりを使う場合も、十分なスペースがないと動作が制限されやすくなります。

将来を見据えるなら、洗い場の広さ、ドアの開き方、手すりの位置、浴槽の出入りのしやすさを確認しておくと安心です。必要に応じて、介護用品を置けるスペースや、介助者が動きやすい動線も考えておきましょう。

介護が必要になってから浴室を大きく変えるのは、親にも家族にも負担がかかります。元気なうちに、少し先の暮らしまで想定しておくことで、長く使いやすい浴室に整えやすくなります。

介護保険や自治体の補助金を事前に確認する

浴室リフォームを行う前に、介護保険や自治体の補助金が使えるか確認しておきましょう。工事内容によっては、手すりの設置や段差解消などが住宅改修の対象になる場合があるためです。

要介護認定や要支援認定を受けている場合、介護保険の住宅改修制度を利用できる可能性があります。浴室まわりでは、手すりの取り付け、段差の解消、滑りにくい床材への変更、扉の交換などが対象になることがあります。ただし、対象になる工事や申請手順には条件があります。

また、自治体によっては、高齢者向けの住宅改修やバリアフリーリフォームに補助制度を設けている場合があります。制度の有無や内容は地域によって異なるため、親が住んでいる自治体の窓口や地域包括支援センターなどに確認するとよいでしょう。

注意したいのは、工事後に申請しても補助を受けられない可能性があることです。利用できる制度があるかどうかは、必ず契約や工事の前に確認しましょう。費用面の不安を減らすためにも、早めに情報を集めておくことが大切です。

リフォーム前に家族で優先順位を決める

浴室リフォームを進める前に、家族で優先順位を決めておきましょう。浴室を安全にする方法は複数ありますが、すべてを一度に行うと費用が大きくなりやすいためです。

たとえば、親が浴槽をまたぐときに不安を感じているなら、浴槽の高さや手すりの設置を優先する必要があります。冬場の入浴を嫌がっているなら、浴室暖房や脱衣所の寒さ対策が先になるでしょう。床で滑りそうになった経験がある場合は、滑りにくい床材への変更を優先した方が安心です。

優先順位を決めるときは、親本人の不安、事故が起こりやすい場所、今後の介助のしやすさ、予算を合わせて考えます。子ども世代だけで判断すると、親が使いにくい設備を選んでしまうこともあるため、本人の希望も必ず確認しましょう。

暮田あすか

親がこれからも安心して入浴できるように、今必要な工事と将来に備える工事を分けて考えることが大切です。

まとめ|親の浴室リフォームは安全に入浴し続けられるかで考えよう

親の家の浴室リフォームでは、見た目の新しさや設備の多さよりも、これからも安全に入浴し続けられるかを基準に考えることが大切です。浴室は毎日使う場所だからこそ、小さな段差や床の滑りやすさ、寒さが大きな不安につながることがあります。

まずは実家の浴室を見て、出入口に段差がないか、床が滑りやすくないか、浴槽を無理なくまたげるか、冬場に寒さを感じやすくないかを確認してみましょう。親本人がどの動作を負担に感じているかを聞くことも、必要なリフォームを見極める手がかりになります。

暮田あすか

介護が必要になってから慌てて対応するより、親が自分で動けるうちに浴室を見直しておくと、安心して暮らし続けやすくなります。帰省したときや親と話す機会に、まずは浴室の使いにくさについて一緒に確認してみましょう。

投稿者

admin@kurasia.jp

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